白衣を着たら頭が良くなる! もう一つの「白衣の暗示」

吉田かずお先生は、「医師などの白衣を着た人物の言葉が聞き手に対して強い暗示力を持っていること」を指して、「白衣の暗示」や「白衣効果」と呼ぶことがあります。これは白衣を着ている人物に対して第三者が暗示を受け容れてしまう構図です。

ところが、白衣は着ている人間にも暗示を与えることが実験で明らかになっています。

米国ノースウェスタン大学のガリンスキー教授らは、ストループ課題を解かせる際に、被験者を白衣を着たグループと普段着のままのグループに分けたのです。ストループ課題は、例えば、赤色の「青」という文字のように、意味と不一致な色で書かれた文字の色を答えさせる課題です。この実験の結果では、白衣を着ているグループの方がもう一方のグループに比して、ミス率が大きく減少していました。

スペインの心理学者ブリニョール教授の「姿勢を正した状態と猫背の状態で自分の長所短所を書き出させた」実験では、猫背のグループの方が自分の回答に確信度が低いと明らかになっています。自分の言葉や姿勢が自己暗示となって働くことは、或る意味、自明ですが、ガリンスキー教授の実験は、衣服の着用そのものが自己暗示として働き作業能力にまで影響することを示しています。

白衣のみならず、各種の制服、礼服やスーツ、そしてカジュアルなものまで、身にまとうものは総て、ファッション誌で語られている以上に、人間の感情や価値観、能力に、意外に大きな影響を与えていると考えるべきでしょう。

催眠施術に来ていただく方々には、こちらで書き込もうと思っている暗示のイメージに合致した服装を指定させてもらうのも良いのかもしれません。

☆関連書籍:『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服