催眠技術の基本原理や歴史を説明すると同時に欧米の医学への催眠療法の適用事例をふんだんに紹介する『ヒプノセラピー 催眠療法』には、催眠療法士による高血圧治療の方法論が書かれています。
ヒプノセラピーには自律神経を整え副交感神経を優位にすることで精神的なストレスを緩和させる効果があることが知られています。血圧もストレスによって短期的には血圧を上げる要因であることが知られています。(慢性的なストレスと血圧の関係は未だ明快な答えがないと『ヒプノセラピー 催眠療法』には書かれています。)ですので、欧米の催眠療法士がヒプノセラピーの弛緩状態によって患者のストレスを減じ、短期的な高血圧状態が発生しないようにすることに、それほど疑問の余地がないように思えます。
けれども、『ヒプノセラピー 催眠療法』は、その容易に想像できる方法論に加えて、心身相関的反応を用いたアプローチを紹介しています。
それは催眠状態の患者に暗示で患者の動脈が軟化して伸縮性が増している状態のイメージを描かせることです。それによって実際に動脈の血流が増えて血圧が低く誘導されるというのです。
バイオフィードバックなどの原理からこうしたアプローチが原理的には理解できるものの、実際にこのような事例がその暗示の概要と共に説明されると、にわかに信じがたい気にもなってしまいます。
医学分野におけるヒプノセラピーの適用の範囲の広さに気付かされる事例です。
☆参考書籍:『ヒプノセラピー 催眠療法』
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